平成27年度教育長からのメッセージ

平成27年度新谷教育長のメッセージ

2015年11月5日 改めて「不易と流行」の意味を考える

11月5日、栃木県芳賀地区市町教育委員会の皆様が、研修で秩父市を訪れてくださいました。今後の新教育委員会制度の移行に際し、4月から既に新制度に移行している秩父市の取組を参考にしたい、という趣旨での研修視察でした。新教育委員会制度の背景、移行の経緯、制度の趣旨等、特に新教育長の責任について、秩父市の取組を含めお話するなかで、私自身も、改めて教育委員会とは何かを考える機会となりました。

4月に新教育長として就任し、教育委員会の機能強化ということで、教育委員会での議論の活性化、教育委員への情報提供、情報の発信等に取り組んでいますが、まだまだ十分とは言えない状況です。一方、国においては、教育改革が矢継ぎ早に進められています。教育再生実行会議の提言も、第8次にわたりなされ、中央教育審議会での議論を経て、法改正・制度化が精力的に進められています。義務教育学校、地域とともにある学校、チーム学校など、直接、市町村教育委員会に関わる大きな課題ばかりです。このような変化に対して、何を、どのように、取り入れるか、教育長のリーダーシップが求められるところだと思います。

教育における「不易と流行」をしっかりと見極める必要を感じます。改めて、「不易と流行」の意味を、ネットで検索してみました。「いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。また、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であること。蕉風俳諧( しょうふうはいかい)の理念の一つ。」とありました。解釈には諸説あるようです。 「一時的な流行に惑わされず、変わらぬ大切なものを守る。」という捉え方もあるようです。言葉の意味・解釈は国語学者にお任せするとして、このように変化の激しい中、何故、変化する必要があるのか、しっかり見極めたいと思います。「不易と流行」を、変化の必要性を直視せず改革・改善をしようとしない姿勢の言い訳には使わないようにしたいと思います。変わらぬ大切なものを守りつつ、変化に柔軟に対応し、必要な新しいものを取り入れる姿勢を持ちたいと思います。

「不易と流行」の言葉を使った中教審の答申として、平成8年の答申があります。  

『我々はこれからの教育において、子どもたち一人一人が、伸び伸びと自らの個性を存分に発揮しながら、こうした「時代を超えて変わらない価値のあるもの」をしっかりと身に付けていってほしいと考える。しかし、また、教育は、同時に社会の変化に無関心であってはならない。「時代の変化とともに変えていく必要があるもの」(流行)に柔軟に対応していくこともまた、教育に課せられた課題である。21世紀に向けて、急激に変化していくと考えられる社会の中にあって、これからの社会の変化を展望しつつ、教育について絶えずその在り方を見直し、改めるべきは勇気を持って速やかに改めていくこと、とりわけ、人々の生活全般に大きな影響を与えるとともに、今後も一層進展すると予測される国際化や情報化などの社会の変化に教育が的確かつ迅速に対応していくことは、極めて重要な課題と言わなければならない。』とされています。

 今から19年前の答申であるが、再度、読み返し、新教育長としての責任の重さを痛感するとともに、「改めるべきは改める勇気」を持ちたいと思いました。


2015年11月5日

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