令和7年5月25日(日)、秩父ミューズパークを主会場として第75回全国植樹祭が開催されました。埼玉県での開催は昭和34年(1959年)以来、実に66年ぶりとなり、秩父地域の歴史に残る日となりました。
当日は、天皇陛下の御臨席を仰ぎ、国や県関係者含む約4,600人が県内外から参加しました。「人・森・川 つなげ未来へ 彩の国」の大会テーマをもとに、豊かな森林資源を活かし、次世代へとつなげていくことを共有する象徴的な演出が大会全体を通じて繰り広げられました。
招待者記念植樹・おもてなし広場
招待者の皆さんは会場到着後、まず植樹会場へと移動し、苗木を1人1本以上植樹していただきました。その後式典開始までの間、「おもてなし広場」において森林・林業や観光のPR、物産販売ブース等をお楽しみいただき、広場内のステージでは「浦山の獅子舞」をはじめとする秩父地域の郷土芸能が披露されました。

プロローグの様子
いよいよ式典がはじまると、最初の「プロローグ」では、まず全国各地の招待者の皆様へ向けて、清野和彦秩父市長による歓迎のあいさつがありました。清野市長は、全国から訪れた参加者を歓迎し、秩父市の紹介を行うとともに、秩父市の有する森林の多面的機能や活樹の重要性を語り、先人たちが守りそだててきた美しい森林を未来のこどもたちへつなげることを誓いました。
続くアトラクションでは、秩父市観光大使でもある林家たい平師匠が登場。森と人々の暮らしの語りとともに、映像やダンス、さらに秩父屋台囃子の演奏などを交えた表現が演じられました。

記念式典の様子
記念式典の開始に先立ち、天皇陛下が御到着になり、開会のことば、三旗掲揚・国歌独唱、大会会長である衆議院議長ならびに埼玉県知事による主催者あいさつを経て、天皇陛下からおことばを賜りました。続いて、緑化功労者等への表彰、苗木の贈呈の後には、植樹祭の象徴的な場面でもある、陛下の「お手植え・お手播き」が緑の少年団の介添えのもと執り行われました。また、陛下の2本目のお手植えにあわせて、市長、市議会議長含む特別招待者の皆様による「代表者記念植樹」も行われました。

その後、たい平師匠と同じくナビゲーターである朝日奈央さんが登場し、本県が誇る日本で最初の林学博士「本多静六氏」を紹介。往時、博士が抱いた森への思いと、現代に生きる私たちが森林を未来へつないでいく決意が融合し、感動的な表現が繰り広げられました。大会宣言、そして次期開催県である愛媛県へ木製地球儀の引き渡しを行う「リレーセレモニー」が埼玉県・愛媛県両知事の手で行われると、記念式典は閉会となり、参加者全員がお見送りする中、陛下が御出発されました。
エピローグの様子
最後のエピローグでは、小鹿野町長による感謝のあいさつ、ナビゲーターによる式典の振り返りの後、全出演者が再度登場となり、感動的なフィナーレに送られた拍手喝采の中、式典は大団円を迎えました。

全国植樹祭と、これからの森林・林業
全国植樹祭は、国土緑化運動の中心的行事として昭和25年から始まりました。第1回大会は「全国植樹行事並びに国土緑化大会」という名称で、山梨県甲府市を会場に、天皇皇后両陛下のご臨席のもと開催されました。
埼玉県においては、昭和34年に寄居町金尾山で第10回大会が開催されました(写真提供:埼玉県)。この時のテーマは「林種転換」、戦後の荒廃地復興と経済成長に応える資源の充実を図ることを目的に開催されました。それから66年、森林を取り巻く状況は大きく変わりました。埼玉県内の人工林も、多くが利用時可能な時期を迎えています。今必要なことは、森林資源の活用を推し進めるための「伐って・使って、植えて、育てる」という森林のサイクルのさらなる活性化です。
本大会で繰り返し提唱された「活樹(かつじゅ)」を永続的に実行していくためにも、森林環境譲与税等の財源を有効活用しながら、森の恩恵を享受する自治体間の連携がさらに活性化していくことが望まれます。
関連情報
本多静六とは
式典アトラクションで声楽家の原田勇雅さんが扮した日本で最初の林学博士「本多静六」については、下記ページにてご案内しています。第75回全国植樹祭は、秩父とも所縁が深い博士に着目した演出が印象的な大会でした。
「日本の公園の父」本多静六博士 | 森の活人
秩父市内の街なかの様子
大会当日、秩父市中町のベスト電器ヤオ秩父店駐車場の特設会場にて、大型スクリーンで式典のリアルタイム映像を放映するパブリックビューイング(秩父市主催)が開催されました。さらに街なかでは、秩父神社への天皇陛下御視察に際する沿道での奉送迎や、「全国植樹祭秩父市記念事業 秩父祭・川瀬祭 笠鉾・屋台特別公開」の開催も相まって、多くの市民、観光客で大変なにぎわいを見せました。
全国植樹祭秩父市記念事業盛大に開催!(リリース資料)

大会の様子をYouTubeで公開中
埼玉県の大会公式チャンネルでは、第75回全国植樹祭の式典の様子をアーカイブ映像にて公開しています(令和7年7月24日まで)。ぜひご覧ください。
第75回全国植樹祭YouTube公式チャンネル