平成29年度教育長からのメッセージ

平成29年度新谷教育長のメッセージ
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  10月8日(日)、前々日からの秋雨一過、晴れわたる青空の下、秩父吉田で龍勢祭が開催されました。25の流派による龍勢(手作りロケット)が、白い煙を噴射しながら、昇天する龍の如く一気に秋の青空を登り、上空約300メートル辺りで花火に点火。色とりどりの火花が輝き、唐傘やパラシュートに吊られた矢柄がゆっくり降りてきます。「秩父吉田の龍勢」は、現在、埼玉県指定の無形民俗文化財ですが、国の重要無形民俗文化財の指定を目指し、文化庁に詳細な報告書を提出しており、早期の国の指定に向け期待が膨らみます。
 祭りでは、吉田小学校、吉田中学校、大田小学校の子どもたちも、落下傘の共同制作や龍勢奉納前の口上に参加しています。口上は大変緊張するものですが、「東西、東西~、ここに掛け置く龍の次第は~・・・椋神社の大前へご奉納~」と、9万人以上もの観客の前で、堂々と立派に役割を果たすことができました。
 
 子どもたちが地域の祭りに参加するということは、多くの人々との関わりを持つということです。同じ年代の仲間との横の関係だけではなく、上下、斜めの関係である祭りを伝えて来た地域の方々、祭りの観客の方々。このような多くの人々との関わりの中で、学校教育だけでは育たない、大切なものが育まれているものと思います。
 「非認知能力」は、政府の教育再生実行会議の議論の中でも、就学前教育において、非認知能力を鍛えることにより、その後の学力向上などにも有効に働くといった議論がなされたり、雑誌でも「子どもの生涯年収を決める非認知スキル」などと取り上げられたりするなど、注目されています。一言で言い表すことが難しい言葉ですが、ネットで検索すると、目標を達成したり、他者と協力したりするために必要となる「忍耐力」、「やり抜く力」、「努力する力」、「社会性」、「自制心」、「思いやり」といった言葉が見られます。今後、社会で生きて行く上で、あるいは成功する上で、必要な力と言えます。まさに秩父の子どもたちに見られる、真面目で、コツコツと、皆で協力しながら頑張る姿が、これに当たるものと思われます。祭り、伝統文化への取組み、地域での活動を通じた体験により、このような力が培われているように思えてなりません。

 今年度の、全国学力・学習状況調査の結果が、埼玉県下、市町別に公表されました。秩父市は昨年に比べ、大変良い結果となっています。ここ数年取り組んでいる授業改善の取組みに確かな手応えを感じています。もちろん、全国学力調査は学力の一部を示すものであり、年々の結果の上下に一喜一憂するつもりはありません。ただ、これまで続いて来た低い傾向から脱却するために、学力向上のミッションを「子どもたちの未来の幸せのための学力向上」と定義し、これを全教職員で共有し、PDCAサイクルに基づく取組みを実践して来た効果が見えて来たことへの喜びは大きいものがあります。
 秩父市の子どもたちが未来に向けて、龍勢の如く高く飛び立つことを祈りつつ、伝統文化の教育などを通じた非認知能力の育成とともに、引き続き、学力向上に尽力します。

 ・吉田龍勢保存会HP
 ・平成29年度全国学力・学習状況調査結果(埼玉県市町村分)

2017年10月13日

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